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2017.07.21 Friday

しあし

JUGEMテーマ:夏の思い出

 

 夏になると思い出すちょっとした体験があるので、それを書いてみる。

 

 何人かの人に話したことがあるのだが、作り話だと思われて信じてもらえなかった。しかし実話である。実話である証拠に、面白くもなくオチもなく、大した中味もない話である。

 

 もう何年も前、ある暑い日に、近所の大衆中華チェーン店へ昼飯を食べに行った時のことだ。他の地域ではどうだかわからないが、東京都内ではそこそこ見かけるチェーン店である。

 

 私が注文したのは、レバニラ炒め定食だったか、何か定食類だったと思うが、よく覚えていない。いや、そんなことはまったくどうでもいい。

 とにかく、私は席に着いて、注文したものがくるのを待っていた。すると、見覚えのある人が店に入ってきて私のそばに座った。近所でよく見かける元気そうなお爺さんだった。話しをしたことはないが、よく見かけるので、もしかしたら向こうも私のことを認識しているかもしれない。まあ、そんなことも、この話には関係がない。

 

 お爺さんが座ると、すぐに店員が注文を聞きにきた。店員は中国人のようである。若い中国人の女性店員で、喋り方から推測すると、日本語はまあまあできるようではあったが、若干たどたしい感じもした。

 

 その店員が、

「何になさいますか」

と、言い終わるか終わらないかくらいで、そのお爺さんはメニューも見ずに、せっかちに、大きめな声で言い放った。

 

「しあしくれ、しあし」

 

 私は思わずのけぞった。

 

 当然、その中国人の女性店員には通じない。びっくりしたような、困ったような顔をして立っている。

 

 お爺さんは繰り返す。

「し、あ、し、だよ、し、あ、し」

 

私には、そう聞こえたが、人によっては、

「しゃぁし、だよ、しゃぁし」

あるいは、

「しやし・だよ、しやし」

に、聞こえたかもしれない。

 

 もちろん、それでも店員には通じない。

私は、助言しようかと考えたが、少しだけ間を置いた後、お爺さんはメニューを開いて、

「しょうがねーな」

みたいな表情をしながら、指をさして注文した。

 

 お爺さんは、どう頑張っても「ひ」が発音できないようであった。 生粋の江戸っ子なのだろうか。

 

 それでも、略さないで 「しあし中華」あるいは「しゃぁし中華」と、「中華」をつけて注文すれば伝わったかもしれないが、なぜかそうは言わなかった。お爺さんの中ではそれはあくまでも「冷やし」という名の食べ物なのかもしれない。

 

 それと、その時のお爺さんの様子から想像すると、注文が通じなかったのは自分の発音のせいではなく、店員がメニューを覚えていないからだと思っているようでもあった。

 

この話は以上である。

 最初に断ったように、面白くもなくオチもなく、大した中味もない話であるが、なんとなく印象に残っている夏の話として書いてみたわけだ。

 

 

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